ぼくたち エージェント!2~チョコレートをダッカイせよ(4/4)

夕方になって、テツヤがあやまりに来た。テツヤのママに引っ張られてきたのだ。
テツヤがつよしからチョコレートを取り上げたとき、広場にはほかにもマンションの子たちがいた。
その子たちが、買い物から帰ってきたテツヤママに、言いつけたらしい。

テツヤママは、うちに来たときからおこってたけど、ぼくがケガしたことを知って、ますますおこった。
そして、テツヤを、これから1週間おやつぬきにした。
「人にやったことは、自分に返ってくるのよ! 人のおやつをとったら、自分のおやつもなくなるの! いいわね!」
オニみたいな顔でテツヤをしかりつけた後、テツヤママは、ぼくのママに白いはこを差し出した。
「これ、プリンなの。いただきもので申し訳ないんだけど、有名なお店のものらしいから、きっとおいしいと思うわ。おわびに召し上がって」
それから、しゃがみこんでぼくとつよしの手をやさしくとると、
「本当に、ごめんなさい。どうか、テツヤをゆるしてやってください」
子どものぼくたちに、頭を下げてあやまったのだ。

ぼくは、テツヤママはとっても立派なママだと思った。このママのためなら、テツヤをゆるしてやろうと思った。

エージェント2 4-2夕ご飯のあと、テツヤママのくれたプリンを食べた。
今まで食べたことがないくらい、ものすごくおいしいプリンだった。
やっぱり、エージェントがかつやくした後は、ごほうびがあるものだ。
ときどきはケガしちゃうこともあるけど、これだから、やめられないよね。


Special Thanks to いらすとや

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。