ドイツに見る名作の伝承

◆スマホが時間泥棒に?!
舞台のほうはというと、時間が経つ様子などを「サーカスチーム」が一輪車、ジャグリング、ディアボロ、アクロバットなどで表現するあたりは工夫が見られ、サーカス+演劇というアイデアがうまく生きていました。

サーカス+演劇で上演された「モモ」

サーカス+演劇で上演された「モモ」

それから時間泥棒はグレーのスーツを着た血色の悪い「灰色の男」としてたくさん登場します。彼らは皆葉巻をくわえており、この葉巻がなくなると消えてしまう。一方、学校版「モモ」では、「灰色の男」たちにスマホをもたせた。お喋りをし続ける彼らが、「あー、バッテリーがなくなってしまう」といって消えてしまう。スマホが時間泥棒になっているということでしょうか。脚本を書いたのも生徒ですが、なかなかのアイデアです。

高松平藏 について

(たかまつ へいぞう) ドイツ在住ジャーナリスト。取材分野は文化・芸術、経済、スポーツ、環境問題など多岐にわたるが、いずれも住まいしているエアランゲン市および周辺地域で取材。日独の生活習慣や社会システムの比較をベースに地域社会のビジョンをさぐるような視点で執筆している。一時帰国の際には大学、自治体などを対象に講演活動を行っている。 著書に『エコライフ ドイツと日本どう違う』(化学同人/妻・アンドレアとの共著 2003年)、『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』(学芸出版 2008年)のほかに、市内幼稚園のダンスプロジェクトを1年にわたり撮影した写真集「AUF-TAKT IM TAKT KON-TAKT」(2010年)がある。1969年、奈良県生まれ。 HP;インターローカルジャーナル