ラーメン無料 早いもの勝ち(4/5)

文と絵・夏美

ごっそりとチラシをかかえて、犬は自分の家に帰った。
一丁目全部の家を回ったわけではないが、きっと後の家は他の犬がぬすみだしているのだろう。
そこでぼくは首をかしげた。
(何でうちのゆうびん受けのチラシだけ取らないのだろう)

ぼくは家に戻り、ゆうびん受けを観察した。
特別変わったところもなく、普通のゆうびん受けだ。
ぼくは辺りを見回した。そこでふと、気が付いた。
(あ、もしかしたら―)
うちのゆうびん受けのまわりには、バラの花がいっぱい植えてあるのだ。
お父さんが仕事に使うための。
犬は匂いのキツイものが苦手だと聞いたことがある。
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バラは花の中では香りが強い。その上、トゲトゲだ。
ぼくでもこのトゲトゲはイヤなんだから、犬はもっとイヤにちがいない。
そこでぼくはひらめいた。
家にとびこみ、お父さんの仕事場からバラの香りのスプレーを1本持ってきた。

夏美 について

大阪出身。童話やミステリーが好きで、少年探偵団や少女探偵ナンシーで育ちました。自分もそんな感じの、子供がワクワクできるようなミステリーやサスペンスを書けたらいいなあと思っています。ようやく落ち着いてパソコンに向えるようになった主婦です。尊敬する人はグラン・マ・モーゼスです。