不安を吹き飛ばす楽しい作品

本書を読んで思い出すことがある。幼稚園のころ、あまりに駄々をこねる私に、母が「お前はうちの子じゃなくて、橋の下で拾った」と怖い顔で告げた。
父に本当かどうか聞いても何も答えてくれない。そういえば、兄とはあまり顔が似ていないような気がする。だんだん心配になってきて、もうどうしたらよいかわからなくなる私。
言うことを聞かない私に対する母のしつけだったかもしれないが、ちょっとやりすぎかなと、今では思ってしまう。

小さい子供には、アイデンティティーということはまだわからないが、ふとしたことで自身の生まれや生い立ちを疑い不安になることもあるだろう。
本作は、元気なサトモちゃんが、そんな不安を吹き飛ばす楽しい作品だ。
大胆な色使いの絵を楽しみながら読み聞かせした後、食事には、さといもの煮物を出してあげるのはどうだろうか。お子さんはさといもも本書も大好きになるだろう。