童話は世界の町をつなぐ

◆インターローカルな文化プロジェクト
お話に登場する子供たちには、アフリカ系や車椅子の子供たちもいて、「インクルージョン(誰も排除されない社会)」というテーマがさり気なく入れられています。そういうお話を、姉妹都市という国境を越えた地域同士が一緒に行うというのがいいですね。

オープニングではフランスの姉妹都市からは伝統ダンスのグループが参加。私にとって印象的だったのが、そのダンスは喧嘩をして仲直りする夫婦のストーリーを表現した作品。なかなかユーモラスでした。

展覧会オープニングで行われた、フランスの姉妹都市による伝統のダンス

最後は会場にいる人たちも混じって、手をつないで踊るという一幕もありましたが、お話に含まれたインクルージョンというテーマや国境を越えた地方都市の人々が一緒なるという象徴のようにも思えるものでした。

ダンスの最後は会場にいる人も一緒に手をつないで踊った

ダンスの最後は会場にいる人も一緒に手をつないで踊った

昨今、日本では「グローバル人材を育成せよ」ということがよく言われますが、欧州を見ていると、むしろネガティブな意味で捉えられているケースも目につきます。不必要な競争と緊張が高まる面があるからでしょう。
それに対して、私はお互い顔が見える国境を越えた地域の関係、これを「インターローカル」と呼んでいるのですが ─ ─こんな関係性が増えると、グローバリゼーションの健全性が高まるのではと考えています。

2万2000人余りのドイツの地方都市に、他の国の地方都市の人々が集まる。そして童話を軸に交流する。まさにインターローカルな文化プロジェクトでした。(了)

筆者のHP:インターローカルジャーナル
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高松平藏 について

(たかまつ へいぞう) ドイツ在住ジャーナリスト。取材分野は文化・芸術、経済、スポーツ、環境問題など多岐にわたるが、いずれも住まいしているエアランゲン市および周辺地域で取材。日独の生活習慣や社会システムの比較をベースに地域社会のビジョンをさぐるような視点で執筆している。一時帰国の際には大学、自治体などを対象に講演活動を行っている。 著書に『エコライフ ドイツと日本どう違う』(化学同人/妻・アンドレアとの共著 2003年)、『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』(学芸出版 2008年)のほかに、市内幼稚園のダンスプロジェクトを1年にわたり撮影した写真集「AUF-TAKT IM TAKT KON-TAKT」(2010年)がある。1969年、奈良県生まれ。 HP;インターローカルジャーナル