WEB版『BOOK&another story』(4/5)

文・田村理江   絵・小野寺美樹

一方、ナカタ老人も知らず知らずの逃亡の末、四国へやって来て、偶然、カフカの住む図書館の前を通った時に「ここには(全ての事件解決のための)入り口の石がある」と言い出す。
静かな午後の図書館で、カフカと佐伯さんとナカタ老人の想いが、一つの線として繋がり、やがて佐伯さんと老人はこの世から旅立ち、カフカは日常へと戻っていく。

「カフカ」とは、チェコ語で「カラス」の意味。カフカが常に心の友としている
「カラスと呼ばれる少年」は、カフカが愛用するナイフという説がある。物語全体がメタファー化した、少年の成長物語ともいえる。

英語版『Kafka on the shore』は、ニューヨークタイムズ紙で年間ベストブックに選ばれた、海外でも人気の作品。蜷川幸雄によって舞台化もされ、佐伯さんを宮沢りえが演じた。(2002年刊行)

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田村理江 について

(たむら りえ)東京都生まれ 成蹊大学文学部日本文学科卒業。日本児童文学者協会第15期文学学校を終了。 第6回福島正実記念SF童話賞を受賞して、『ガールフレンドは宇宙魔女』(岩崎書店)を出版。 児童書の作品に『リトル・ダンサー』(国土社)、『夜の学校』(文研出版)、『魔の森はすぐそこに・・・』(偕成社)など。絵本の作品に『ふなのりたんていラッタさん』(フレーベル館)、『ハンカチのぼうけん』(すずき出版)など。 HP:田村理江のページ

小野寺美樹 について

(おのでら みき)1995年千葉県生まれ。学習院大学経済学部経済学科を2017年の春卒業して、出版社勤務予定。2012年春から毎年、『BOOK展』(ギャラリーウシン)に絵画作品やポストカードを出品。