WEB版『BOOK&another story』(5/5)

文・田村理江   絵・小野寺美樹

終戦間近、小さな町は他国に占領される。
荒んだ町の空気に染まったかのように、双子は戻って来た母親からの「一緒に逃げましょう」という誘いを頑なに拒否。やりとりの最中、母親は生まれたての赤ん坊もろとも、祖母の家の庭で爆死。双子は淡々と、その様子を見守る。

迫害を受ける父親も、双子の元へ戻って来て、「国境を越える手助けをしてくれ」と頼む。双子は快諾し、父親を導くが、双子の思わく通りに父親は国境近くで爆死。双子のうちの一人が、父親の屍を踏みつけて、無事に国境を渡る。そして残った一人は、祖母の家へ。祖母は、すでに自らが望んだ通り、双子によって脳卒中の発作の後、毒殺されていた。

センセーショナルな内容でいながら、どこかファンタジックなこの物語は、戦争の色が濃く、悲惨な状況で生きる人々の様子を易しい言葉で、寓話的に綴っている。

原書では『大きなノート』という題がついていて、双子が日々の出来事をノートに記したように書かれている。
2013年には、ドイツ・ハンガリー合作で映画化された。日本では糸井重里が、この物語に影響を受け、1989年に任天堂から『MOTHER』という人気ゲームを生み出した。(1988年ハンガリーで刊行)

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田村理江 について

(たむら りえ)東京都生まれ 成蹊大学文学部日本文学科卒業。日本児童文学者協会第15期文学学校を終了。 第6回福島正実記念SF童話賞を受賞して、『ガールフレンドは宇宙魔女』(岩崎書店)を出版。 児童書の作品に『リトル・ダンサー』(国土社)、『夜の学校』(文研出版)、『魔の森はすぐそこに・・・』(偕成社)など。絵本の作品に『ふなのりたんていラッタさん』(フレーベル館)、『ハンカチのぼうけん』(すずき出版)など。 HP:田村理江のページ

小野寺美樹 について

(おのでら みき)1995年千葉県生まれ。学習院大学経済学部経済学科を2017年の春卒業して、出版社勤務予定。2012年春から毎年、『BOOK展』(ギャラリーウシン)に絵画作品やポストカードを出品。