「ナイト列車 ドリーム号」~アーシャの力(2/8)

文・泉あおり  

「なにか、対策をしないとねぇ」
学校の帰り道、ともに帰宅部のたか子は、まるで自分の悩みのように考えてくれた。
「最近、ペースが速いんだよね」
「1週間で3回だもんねえ。レン子、その力が目覚めたのって、たしか去年だったよね?」
「うん。でも前は、月に1回あるかだったし」
「まさに、女子ならではだねぇ」
「もー、やめてよぉ」
いたずらっぽく笑うたか子に、レン子はぷっと口をふくらませた。

「でも、付き合ってくれてありがと。ホントはたか子、吹奏楽部に入りたかったのに」
「あ、いいのいいの。どうせあたし、集団行動苦手だし。なんなら高校デビューで、軽音楽部もありかなって」

去年の秋、まわりが部活動にはげむ姿を見て、たか子はレン子を吹奏楽部の体験入部に誘ってくれた。
入部する気はなかったが、初めてフルートを手にすると、なぜか心はワクワクした。
けれど、演奏に加わわると、また千里眼が目覚めてしまったのだ。
自分はいいからと、入部をあきらめると、たか子もいっしょに帰宅部になってくれた。

「よし!」
きゅうに、たか子がショッピングモールの入り口で、ピタリと足を止めた。
「人はさ、ヒーローにお金を出すのよね。ほら、見てよこの映画の数!」
たか子が興味深々な目で、壁に貼られたアメリカンヒーローのポスターを見つめている。

「だから、千里眼を認めちゃうの。で、レン子は、若くして人類のヒーローになる!」
自分で言って、たか子は吹きだした。
「もぉ、やめてってばぁ」
「だめぇ?」
レン子が、怒った顔で首をふる。
「ちぇ。お金もうけ、できそうだったのに」
「とにかく、こんなのがずっとつづいたら、頭がおかしくなっちゃうよぉ」

泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 童話とエンタメ系児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員