「ナイト列車 ドリーム号」~アーシャの力(4/8)

文・泉あおり  

「ふぅ、女か。それで、切符は?」
汽車から顔をだしたのは、帽子をかぶった少年だった。
レン子はドキッとした。
よく見ると、まだ小学生のように幼い顔をしている。
青い帽子からはみ出した、銀色の髪はなんともつややかだ。
さらに彼の瞳は、ガラス玉のように、キラキラとしている。

レン子は、ごくりとツバを飲みこんだ。
「あの、切符って、これのこと?」
「はぁ、持ってたんだぁ」
切符を見せると、男は帽子をとって、銀髪を手でクシャクシャとかきまぜた。

(・・・嫌われちゃってる?)
おそらく、年下だろう。
とはいえ、男子にイヤな顔をされると、女子としては心に傷だ。
レン子は、胸に黒いものを感じていた。

「ねえ、早く乗ってくれない?」
帽子の男が、急かすように言った。
どぎまぎしつつ、レン子は自分の顔に指をさす。
帽子の男は、面倒くさそうにうなずく。

(なんだぁ、乗って良かったのね?)
あわてて駆け寄り、車体に足をかけた。
「あ、ひぃ、よっとぉ・・・あっ」
ハシゴを上がると、男がレン子の手を、グイと引っ張ってくれた。

「よっと、あ、ありがとうっ」
あれこれとネガティブに考えたが、どうやら、レン子を受けいれてくれたようだ。
運転席に入ると、汽車が蒸気をあげた。
ガタゴトと、もう車体が動きはじめる。
「ドリーム号、発車オーライ!」

泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 童話とエンタメ系児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員