「ナイト列車 ドリーム号」~ゲームマスター(7/8)

文・泉あおり  

「ヒロキの代わりに、オレがキミと戦う」
突然登場したパパは、ヒロキを立たせると、代わりにイスに座って神木と向き合った。
ヒロキは、毒で動けない片桐のもとへ走った。

片桐は、歯を食いしばっている。
「片桐くん、大丈夫?」
「ああ、動かなければな。それよりヒロキの父さん、本気で神木と戦うつもりか?」
ヒロキは、片桐の横で小さくうなずいた。
「そうか。じゃあ、ここで観戦しかないな」

神木は、前髪をなでながら言った。
「あんたの息子、勇者なのに逃げちゃったよ」
「だから、俺が代わりだって。俺は息子を守るためにやってきたんだ。容赦はしないよ」
「フフ、会社員に何ができるのかな?」
そこでパパは、前のめりになって笑った。

「俺、キミの弱点を見つけたんだよね」
「へえ」
ヒロキは、いつもと違って頼りがいのあるパパを、驚きを感じながら見守っていた。
不安なのは、含み笑いの神木の眼が、パパの言葉攻めのたびに挑戦的になることだ。

パパは神木を見つめながら続けた。
「さっきヒロキに、ゲームのアドバイスをしてたよね? あれ、俺には焦りに見えたんだ」
「ハハ、それが弱点?」
「そう。あれはアドバイスなんかじゃなく、意図的な誘導にしか見えなかった。わかるんだ、俺も宝石を売るためによくやったから」

泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 童話とエンタメ系児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員