「ナイト列車 ドリーム号」~ゲームマスター(7/8)

文・泉あおり  

元営業マンのパパの言葉に、神木は居心地が悪そうに体をもぞもぞさせている。
「ゲームマスターなんて呼ばれるくらいだから、キミは優秀なんだろう。口も上手いしカリスマ性もありそうだ。でもさ、俺は騙されないよ。キミは明らかになにかを隠してる」
「うるさいな。あー、ムカつくなぁ」
「言ってみな、キミの本当の目的はなんだい? ホントは、怖いんだろう?」
「うるさいっ、黙れっ!」

パパの最後の質問に、神木が突然、イスを蹴って立ち上がった。
ヒロキは、憧れのゲームマスターの逆上ぶりに凍り付いてしまった。
「黙れ黙れ黙れっ! 今すぐ黙らないと、オッサンも後ろのふたりも、ぶっ殺してやる!」

イスを持ち上げ、威嚇してくる神木だが、パパは動じずに人差し指を向けて叫んだ。
「そうか、わかったぞ! 俺が思うに、キサマがサタン閣下だろ!」
次の瞬間、
ブッ、ヴオオッオォォッ!
なんと、神木の体から火が噴き出して、たちまち彼の体を炎が包み込んでいったのだ。

「うがああっ、アツいっ、アツいいっ」
イスを落とし、手で火を払いながら叫ぶ神木の背後から、小さな紫色の生物が飛び上がった。
それは天井で跳ね返り、今度はヒロキと片桐をめがけて飛んできたのだ。

「あいつが、サタン閣下の正体だっ」
ヒロキは、握った剣を高々と掲げた。
「ヒロキ、とどめを刺せ!」
「任せて! こっちはオマエのせいで、1週間もムダにしたんだっ。そらりゃっ」
シュパーンッ、バササッ――。

泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 童話とエンタメ系児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員