「ナイト列車 ドリーム号」~ゲームマスター(7/8)

文・泉あおり  

力が抜け、その場にへたり込むヒロキのそばへ、スーツを着たパパが走ってきた。
「ヒロキ、ケガはないか?」
「うん。でもまさか、神木くんに化けてたのが、悪魔のボス、サタン閣下だったとはね」
「あいつが怖れてたのは、ゲームをクリアされることだったんだな。悪魔とはいえ、ゲームを止められたら忘れ去られる存在だもんな」

「ハハ、なら悪魔はバカだね。面白いゲームなら、ゼッタイにゲーマーは忘れないのに」
「もっと自信を持て、だな。あっはっは」
そう言って笑うパパの体が、だんだんと透明になっていく。そしてーー。

「あ、パパっーー消えちゃったよ」
「これで、本当にゲームクリアだ」
背後から片桐の声がして振り向くと、彼はもう、運転士の格好に戻っていた。
ヒロキの肩に手を置いた片桐は、目の前で大あくび。
「片桐くん、お待たせてしてごめんね。淋しいな、僕の鎧も消えていく・・・あ、てことは」
「そうだっ、忘れてた! ドリーム号も復活してる! ヒロキ、いそいで戻るぞっ」

泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 童話とエンタメ系児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員