「ナイト列車 ドリーム号」~ゴーストガール(1/9)

文・泉あおり  

トゥルルッ。トゥルルッ。
《――留守番電話サービスに・・・》
そうやって、電話はつながるのだが、相手はいっこうに出てくれなかった。これでもう、10回目のトライだった。
「ダメダメ、あきらめちゃ、ダメよ!」
ここは夜の公園の電話ボックス。美琴の他に人の気配はなく、まるでそこは闇の海にポツンと浮かぶ、離れ小島のようだった。
(お願い、早く、電話に出てぇ!)

私立中学に通う立花美琴は13歳。夢は獣医師で、受験を選択したこの春、見事難関私立中学に合格した。
いちど目標を決めたら、つっ走るタイプの頑固な性格だが、これで見た目は自分でも良い方だと思っている。低い身長と広い額はさておき、目はパッチリとしているし、なにより艶のあるロングヘアは、中学生になっても変わらず評判だった。
ただ、勝気な性格も自信も、時に裏切り者になるからと、美琴は自分を警戒してもいた。人生は残酷でもあると、思っているわけだ。

むかしのことだ。満員電車にひとりで乗った時、美琴は、いきなり見ず知らずのオヤジにベタっと髪を触られてしまった。
「コラアアっ」
その時は、頑固でつっ走る性格が、アダとなった。
オヤジに怒鳴ってガツンと言ってやったあの日に、よ~くわかったのだ。人生は声の張りようが大事で、やり過ぎるとそれは、キツ~く自分に跳ね返ってくるのだと。
というのも、駅員に連行されたのは、オヤジの方ではなく、美琴の方だったのだから。
(わーんっ、どうして私なのよっ!)

泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 童話とエンタメ系児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員