「ナイト列車 ドリーム号」~ゴーストガール(5/9)

文・泉あおり  

ガタゴト、ガタゴト、プシュウっ!
眼を覚ますと、そこはピンクのモヤが立ち込める、不思議な空間だった。やがて美琴の前に現れたのは、一両編成の、古びた紺色の蒸気機関車だった。
「はぁ、女か――それで、切符は?」
普通なら、ここでびっくり仰天するのだろう。窓から顔を出す、少年のような運転士にも、きっとあぜんとするのだろう。

「切符ですね。ええと――はい、どうぞ」
けれど美琴は、自分でもおどろくほど落ちついていた。もっと怖いオバケを見たせいか、それとも孤独な時間を過ごしたせいか、それは自分でもよくわからなかった。
「切符、持ってたのか――はぁ」
ただ、この運転士は、どこかホッとする。いちいち面倒くさそうに接してくる、このあどけない少年には、自分が見えているのだ。
そう思うと、美琴は嬉しかった。
「はぁ。まさか幽霊が乗客とはな・・・仕方ない。じゃあ出発するから、乗ってくれ」

泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 童話とエンタメ系児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員