「ナイト列車 ドリーム号」~ゴーストガール(6/9)

文・泉あおり  

ドリーム号から降りると、美琴はピンクのモヤの中に立って辺りを見回した。すると運転席の窓が開き、あくびをしながら顔を出す片桐が、今にも消え入りそうな声で言った。
「まっすぐ、歩けばいぃ・・・。そこに美琴の、清算するべき、魂の忘れ物が――あるから」
「ん、わかったわ。優しくしてくれてどうも」
お辞儀をしてドリーム号に背を向けた美琴は、片桐の言葉に従いまっすぐに歩き始めた。

(怖くない、怖くない。魂の忘れ物、ちゃんとこの目で確かめてやるんだから!)
そうやって自分の未練に向き合う決意をした美琴だが、この時はまだ、自分の運命を大きく左右する大事件に巻き込まれる事など、美琴は想像だにしていなかった――。

ピンクのモヤの中を歩いて5分、美琴は目の前に透明のスクリーンを見つけて立ち止まった。
「あら、まるで映画館のスクリーンみたいね」
それは、縦横5メートルはある、巨大なものだった。

泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 童話とエンタメ系児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員