おれと天使(3/6)

文・泉あおり  

「こらっ、ヨースケ!」
そのとき、どこからかどなり声がして、ヨースケはドキッとした。
「あ、あわわ・・・み、見られちまった」
ヨースケは、ほかにとうめい人間がいるのかと、ビクビクしながら教室を見まわした。
しかし、いくら教室を見まわしても、声のあいてを見つけることはできなかった。

「この悪ガキめ。イタズラばかりしおってからに!」
「だ、だだ、だれだよっ」
「わしは神じゃ!」
「ひいっ」
「もう体を出るなと、あれだけ注意したのに、まだわからんか!」
チラッと教室を見まわすと、みんなはもくもくと理科のテストをうけていた。
どうやら、神の声はヨースケにしか聞こえていないようだった。

「さすがだぜ・・・いや、まてよ。神といっても、どーせ声だけじゃねえか」
どなり声でビックリしたものの、よくかんがえれば、神はすがたを見せてはいなかった。
「だったら、べつにこわがることはねえ。どーせこっちは、どなられるぐらい、なれっこだっつーの!」

「き、キサマっ・・・神にむかってっ」
いつものちょうしをとりもどしたヨースケは、教室のまんなかから、ビシッと天上に指をむけた。
「おい、天使ポポから聞いただろ? どうしてホースをえん長コードにしねえ。さっさと、おれのホースをのばしやがれっ」
「な・・・なんとばちあたりな」

ゴゴゴゴゴォ。
すると神にさからったせいか、教室に黒い雲がたちこめてきた。
ピカピカッ!
「ひいっ」
そして、とつぜんカミナリが光ったのだ。
「神にさからうと、こうじゃ!」
ゴロゴロゴロッ!

「うっひゃあ、な、なにしやがるっ」
カミナリが、ヨースケをめがけて落っこちてきたのだ。「すこしは反省しろ!」
「あたったら、あっぶねえだろ!」

ズドンッ、ズドンッ、ゴロゴロッ、ズドンッ!
「ひゃあっ、あわわ、うわあっ」
もんくを言って走りまわるヨースケを、カミナリはどんどんおいかけていった。
「ひいっ、ひいいっ。も、もうわかったって・・・あっ!」
だがそのとき、教室をにげまわっていたヨースケは、めぐみちゃんのつくえに足をひっかけてしまったのだ。

ブチィィィっ!
いやな音がした。
「し、しまった!」
ヨースケはいきおいあまって、教室のゆかにヘッドスライディングでたおれこんでいった。

泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 童話とエンタメ系児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員