おれと天使(4/6)

文・泉あおり  

どっピュウー。
教室のまどからほうりだされたヨースケは、たこあげのように大空に高くまいあがっていった。
「ひ、ひいぃ。た、たすけてっ」
だが、いくらさけんでも、もう神の声は聞こえてはこなかった。
小学校のたてものが、どんどんヨースケから遠ざかっていく。
そして本体の自分はもう、米つぶのように小さくなっていた。
「ヨースケっ」
そのとき、空をただようヨースケのシャツを、小さな手がギュッとつかんできたのだ。

「な、おれをつかむのは、だれだっ」
Tシャツをつかまれて、ヨースケはあわててふりかえった。
「ぽ、ポポっ。天使ポポじゃねえか!」
「ポポポポポぉー」
なんと天使ポポが、大空をまうヨースケをキャッチしたのだ。
小さな羽をパタパタさせて、天使ポポはいまにも飛びさっていきそうなヨースケを、ひっしでつかまえていた。

「お、おい! とにかく、ぜってーはなすなよ」
「わ、わかってるっポ。ライフコードは大切だって、あれだけ言ったのにっポ」
「わ、悪かったって。で、これからどうすりゃ、おれは本体にもどれるんだ?」
天使ポポがつかむヨースケは、まるで空にまうこいのぼりだった。
「とにかく、良いことをするっポ。ヨースケが生きかえるほうほうは、だれかの役にたつしかないっポ」
「や、役にたつだって? そんなの、やったことがねえ・・・うーん、なにをすりゃいいのか、さっぱりだ」
「ポポポっ、もうダメっポ」
天使ポポの手は、プルプルふるえ出していた。

泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 童話とエンタメ系児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員