未来人がやってきた(4/5)

文・泉あおり  

「なあコウタ、せんたく物をたたんでくれないか? 今から仕事で東京にいかなきゃならないんだ」
家に帰るとすぐ、スーツを着たお父さんが言ってきた。
「ええ! 今からゲームをしようと思ったのに」
もんくを言ったコウタは、すぐにスーパーコウタとの約束を思いだした。
――今日だけは、人の言うことをすなおに聞く。
「しょうがない。ゆめをかなえるためだ」
コウタはすぐにかんそう機からシャツを3まい取ってきた。
「スーツケースに入るように、コンパクトにたたんでくれな」
「わかったよ」
コウタはお父さんの注文どおり、なるべく小さくシャツをたたんでいった。
「お、やるじゃないか。コウタのおかげで、パンツと書類も全部スーツケースに入っちゃったよ」
カバンがひとつへって、お父さんは大喜びだった。
そうしてお父さんは、ごきげんで空港にむかっていったのだ。

「これでやっとゲームができるぞ」
するとそのとき、お母さんが買い物から帰ってきた。
「夕飯ができるまでに、算数の宿題をやりなさい」
「えええ! やっとゲームができると思ったのに!」
もんくしかでないコウタは、またまたスーパーコウタとの約束を思いだした。
「おっと、今日だけは、人の言うことを聞くんだっけ」
しかたないと、コウタはワクワクした気持ちをおさえて、自分の部屋に走っていった。

泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 童話とエンタメ系児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員