いえいえ、おばけじゃありません(3/4)

文と絵・ひなたのんき

へやに、にもつをおいて、ちょっとやすんでから、ぼくとパパは、りょかんのおふろに行った。
おふろの中は、うすぐらくて、ゆげでいっぱいで、あんまりよく見えない。
ぼくは、パパにぴったりくっついて、はなれないようにした。

よ~く目をこらすと、右の方に、じゃぐちが三つ、ならんでいる。
じゃぐちのまえには、おふろ用のいすとおけが、これも三つずつ。
パパが、いすにすわったので、ぼくも、となりのいすにすわった。

「シャワー、ないの?」
「ないみたいだな。このじゃぐちから、おゆを出して、おけにためるんだよ」
パパが、おけにためたおゆを、自分の体に、ザブッとかけた。
そうして、そなえつけのせっけんを、タオルでゴシゴシあわだてた。

「さきに、中に入ってるぞ~」
パパは、さっさと体をあらいおわって、おゆにつかりに行ってしまった。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。