いえいえ、おばけじゃありません(3/4)

文と絵・ひなたのんき

「ま、まってよ」
ぼくはあわてて、パパのまねをして、体をぜんぶあらった。
ザブッと、おけのおゆで、せっけんのあわをながして、ふりかえったら、うしろに、くろいかげが・・・。

「きゃあーー!おばけ!」
「いえいえ、おばけじゃありません。りょかんのものです。おゆかげんを、みにきたんですよ。おどろかせて、すみませんねぇ」
ゆげの中から、ヌゥ~ッと、ガイコツみたいなかおが出てきた。

ガイコツみたいだけど、よく見ると・・・ほんとだ、にんげんのおじいさんだ。
「どうぞ、ごゆっくりぃ~・・・」
おじいさんは、ヒタヒタ、ヒタヒタと、おふろから出ていった。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。