いすから去った王子(5/7)

文・伊藤由美   絵・伊藤耀

すると、馬上試合に参加するために、うでにおぼえのある騎士たちが、続々と、お城に集まってきました。
ワタリガラスの王子のかたわらで、はなやかな馬上試合が始まりました。
きらびやかなよろいかぶとを身に着けた騎士たちが、試合場の両はしから、やりを構えて、馬を走らせます。

そして、真ん中まで来ると、やりで、たがいのたてをつき、馬から落とし合うのです。
ガツン!
ドシャン!
はげしいぶつかり合いの末、やりは折れ、たてはくだけて、かざりの宝石が、バラバラと、飛び散ります。

その後、騎士たちの戦いは、馬上から地上にうつります。
ガツン!
ドシャン!
重い剣を、たがいのたてに、力いっぱい、ふり下ろします。
どちらかが地面にたおれて、うごけなくなるまで。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井市在住。 ブログ「絵とおはなしのくに」を運営するほか、絵本・童話の創作Online「新作の嵐」に作品多数掲載。HP:絵とおはなしのくに

伊藤 耀 について

(いとう ひかる)福井県福井市生まれ。福井市在住。10代からうさぎのうさとその仲間たちを中心に絵画・イラストを描き始める。2019年からアールブリュット展福井に複数回入賞。2023年には福井県医療生協組合員ルームだんだん、アオッサ展望ホールその他で個展開催するほか、県内アールブリュット作家展に出品するなど、活動の幅を広げている。現代作家岩本宇司・朋子両氏(創作工房伽藍)に師事。HP:絵とおはなしのくに