おしょうさんとかっぱ(3/5)

文・雪乃 椿  

おしょうさんは、こまってしまいました。
かっぱのこわいものが、わからないのです。
そこでお茶をのみながら、こわいものを聞きだすことにしました。

「へびは、好きか?」
「おいかけるとニョロニョロと、にげるすがたがおもしろい」
「カミナリは、こわいか?」
「ゴロゴロなると、おいらおどりだす」

「おてんとうさまは、どうじゃ?」
「水の中から見ると、キラキラきれいだぞ」

おしょうさんは、もっとこまってしまいました。
あれやこれやと聞いてみましたが、かっぱのこわいものが見つかりません。

「おしょう、もう一ぱい茶をくれ」
「わかった。だが湯がないので、井戸で水をくんでくる」
「井戸? なんだそれ、おいらに見せてくれ」

こわいものを知るために、もっといっぱい話をしなくてはいけません。
そこでいっしょに、井戸まで行くことにしました。

雪乃 椿 について

(ゆきの つばき) 京都市に生まれ現在も在住。英知大学イスパニア語イスパニア文学科卒業後、京都大学医学部附属病院で医局秘書として勤務。物の怪、陰陽師、仏像が大好きで、いつか平安時代の大スペクタクル児童文学を書いてみたいと思っています。