お菓子の国のしつじーさん(4/7)

文・あいみ  

「どうかなさいましたの?」
ハレルヤに声を掛けられて、メェさんは目をあげました。
「え? ハレルヤさん・・・どうかなさいましたかな?」

「いえ・・・。メェさんの表情がとても疲れているみたいでしたので・・・。あの、シュガー姫さまと・・・何かありましたの?」
うっ。メェさんはちょっと、とまどってしまいます。
「なっ、何でもありませんよ。ハレルヤさん」

ハレルヤさんには相談できないメェさんなのでした。やさしくて涙もろいハレルヤさんは、立ち向かうことが全くできない女性です。直ぐに泣いてしまう弱い人・・・やさしさゆえに、悪いことは見ないふりをしてフタを閉じてしまう・・・そんな人なのです。もしも彼女が違ったタイプだったら、メェさんは相談したでしょう。シュガー姫のことを。
けれど・・・。
(ああ・・・わたしはパンクしてしまいそうですぞ・・・)
シュガー姫のことで悩み泣きたい気持ちの執事のメェさん
「・・・あ。でも今、わたしのこと・・・メェさんって?」
いつも、羊の執事のしつじーさん、と呼ばれるいたのに、とメェさんはちょっとびっくりです。
(名前で呼ばれただけなのに・・・。認めてもらえたみたいな気持ちになるものですな)
ふふっ。
メェさんは小さく笑いました。

「? どうかなさいましたの、メェさん?」
「いいえ、何でもありませんよ。ハレルヤさん」
メェさんは笑ってそう、答えたのでした。
(つづく)

あいみ について

あいみです。東京都在住の介護士さんしてます。赤毛のアンが大好きです。文通なんかもしていたりします。一度きりの人生、楽しまなきゃ!の精神で毎日頑張っています。 きっと明日は今日よりも良くなると信じています。 ブログ→「あいみの幸せぶっく」