がめ島うらしま館(5/14)

文・伊藤由美   絵・伊藤耀

マップによれば、うらしま館は地上5階。
そして、地下は、何と、103階!
スライドしたり、くるくる回ったりするマップの動きに合わせて、ガイドの音声が入ります。

「それぞれの階は日本の海、世界の海、古代の海、未来の海など、テーマ別に分かれております。そして、何といっても、この館の見どころは、地下から地上5階までが一続きのちょう巨大水そうです。まさに宇宙最大と言っても過言ではございませんよ」
「こんなの、全部、見たら、夜までかかるやない」
大介が口をとがらせると、ガイドは、すかさず、言いました。

「とんでもございません、夜までだなんて。この館のすべてを見ていただくには、少なくとも、3年はかかります。ちょう巨大水そうと並ぶ、この館のもう一つの自まんは、地下88階より下にもうけられた竜宮娯楽殿でございます。ショーにゲームにレストラン! そりゃもう、楽しいことばかり! 3年など、夢のように過ぎてしまいますよ」
「へえ、面白そう! じゃ、おれら、そこから!」
「いえ、みなさまにはスペシャルなゲームをご用意しております」
「スペシャルゲーム? どんなんや?」
「はい。まずは、それぞれ、プレーヤー名をお決めください」

マップが消え、画面に少年2人と少女1人のアバターが出ました。
「わ、このアバター、おれらそっくり。じゃ、おれは、ドラゴンスレーヤー・ダイスケ!」
「あたしはただのミサトでいい」
「ぼくもただのシンイチ」
3つのアバターのとなりに、パパっと、3人のプレーヤー名が表示されました。
「では、左手の順路にそってお進みください」
タブレットは、プツンと、終了しました。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井市在住。 ブログ「絵とおはなしのくに」を運営するほか、絵本・童話の創作Online「新作の嵐」に作品多数掲載。HP:絵とおはなしのくに

伊藤 耀 について

(いとう ひかる)福井県福井市生まれ。福井市在住。10代からうさぎのうさとその仲間たちを中心に絵画・イラストを描き始める。2019年からアールブリュット展福井に複数回入賞。2023年には福井県医療生協組合員ルームだんだん、アオッサ展望ホールその他で個展開催するほか、県内アールブリュット作家展に出品するなど、活動の幅を広げている。現代作家岩本宇司・朋子両氏(創作工房伽藍)に師事。HP:絵とおはなしのくに