がめ島うらしま館(7/14)

文・伊藤由美   絵・伊藤耀

「よかった! でも、大ちゃんを水そうから出すにはどうしたらいいの、ガイドさん!」
タブレットはしんとしています。
「ねえ、ガイドさんたら!」
その時、美里は、画面の中の大介が、見みぶりで、自分に何かを伝えようとしていることに気が付きました。

「え、なに? 何かをおすの?」
美里はきょろきょろと探して、スピーカーのアイコンを見つけました。
「きっとこれだ!」
アイコンをおしたとたんに、わっと、大介の声が流れてきました。

「ありがとう、みーちゃん、助かったよ!」
「大ちゃん、こっちが見えるの!」
「うん、このアクアラング、すごくよくできていて、マイク、イヤホン、おまけにカメラまでついているんや。みーちゃんの声、よく、聞こえるし、ゴーグルのはしっこにそっちの様子も映ってる」

「よかった! でも、これから、どうしたらいいの? ガイドに聞いても、返事がないし」
「とにかく、このペナルティゲームを、早いとこ、終わらせんと。タブレットに、何か、ヒント、ないか?」
「ちょっと待って」
美里が「もどる」のボタンを見つけて、タップすると、大きなバッテン印の下に「ペナルティゲームについて」とありました。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井市在住。 ブログ「絵とおはなしのくに」を運営するほか、絵本・童話の創作Online「新作の嵐」に作品多数掲載。HP:絵とおはなしのくに

伊藤 耀 について

(いとう ひかる)福井県福井市生まれ。福井市在住。10代からうさぎのうさとその仲間たちを中心に絵画・イラストを描き始める。2019年からアールブリュット展福井に複数回入賞。2023年には福井県医療生協組合員ルームだんだん、アオッサ展望ホールその他で個展開催するほか、県内アールブリュット作家展に出品するなど、活動の幅を広げている。現代作家岩本宇司・朋子両氏(創作工房伽藍)に師事。HP:絵とおはなしのくに