せつなくて100パーセント泣ける本

さよならまたね書影ぼくとクッキー さよなら またね
かさいまり 作・絵
ひさかたチャイルド

父親の仕事の関係で、幼少のころ、私はよく引っ越しをした。住み慣れた家や土地、そして友だちとの別れがつらくてしかたなかった。
今のように携帯電話やインターネット、LINEなどがない時代。友だちとの連絡はたやすくなかった。夕日が沈むのをみると、友と遊んでいっしょに家路についたことを思い出して、よく涙したものだ。
今回の作品は、別れをテーマにした絵本。読んだら、せつなくて100パーセント泣いてしまうお話だ。

クマの子の「ぼく」とクッキーは大の仲良し。いつもいっしょ。たくさん遊んで、家に帰るときの合言葉は「さよなら またね」。
でもあるとき、クッキーは元気がなく、いつもと様子がちがう。帰るとき「さよなら」しか言わなかった。
その原因――それは引っ越しだったのだ。仲良しだったのに、何も言ってくれなかったクッキー。「ぼく」は裏切られた思いがしたが、思い直してクッキーのために夜中まであることをする。
この作品を何度読んでも、最後の3ページはハンカチが必要になってくる。

親御さんの仕事の都合などで転勤、引っ越しすることは、子どもにとってどうしようもないことだ。しかし友との別れのつらさに耐えること、そして旅立つ友を思いやることを、本書から学べるのではないだろうか。ぜひ親子で読んでほしい。ハンカチを忘れずに(涙腺の弱い人はタオルを)。

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