ぜんぜん不思議じゃなかった3日間(12/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

うろうろと、どれだけ歩き回っただろう。
家を出て神社に到着するまでは、どれくらいかかったのか?
なんてことは、もちろん、把握、していない。
けど、この、帰り道の長さに比べたら、うんと短いような気がする。

「ふーっ、ちょっと休もう」
そうだよ、待てばいいだけだ。
もしかしたら、策作じいさんやしのさんと遭遇できるかもしれないし。
できなかったとしても、朝が来て明るくなれば、なんとかなるだろう。
と、疲れて、座り込んだ時、だった。

感じる!
背後に忍び寄る、怪しい気配。
焦るな来月。
自分で自分に言い聞かす。
すでに焦ってはいるけれど、これ以上、焦るな来月。
これは、どういう状況だ?
と屋外の場合、考えている余裕はない。
立ち上がり、構えの体勢をとる。

「この、」
痴漢! 叫ばなくて、よかった!
目の前にいたのは、賢作さんだ。
「こんばんは、安達ケ原さん」
こんな、知らない場所にまで現れるなんて、さすがユーレイ、神出鬼没。

「こんばんは。あの、もしかして、あたしを迎えに来てくれたんですか?」
「迎えに?」
「はい。・・・あれっ? ここは・・・」
佐熊山家の門の前、だよ。
「安達ケ原さんも、星を見に? そろそろ飛び始めるころだから」
「あ、はい」
いいよね? まるきりの嘘じゃない。
「一緒に、見る?」
「はい! 見ます!」

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。