ぜんぜん不思議じゃなかった3日間(13/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

あたしの目の前には、海が広がっている。
ざざざと打ち寄せる波は、低い。
波がない日は、ヒスイは動かないという。
それでも、探すのは、「しのちゃんに、持たせていきたいんや」からだそうだ。
「いつか、きれいなんを見つけたる」と、約束をしていたからだそうだ。
ああ、そのために、策作じいさんは、ヒスイを探してたのか。
もっと早く聞いていれば、流れ星に願いをかけられたのに!

目を皿にして、探す。
あたしも、きれいなヒスイを見つけ、お精霊舟に積んでもらいたい。
あたしから賢作さんへ、最初で最後のプレゼントだ。
目を皿にして、探し、探す。

ふと、前方をながめると、策作じいさんが目に入る。
「見つかりましたか?」
追いついて、声をかける。
「いいや」
ああ、これが賢作さんとだったら・・・、湧き出る想いを押え、策作じいさんと並んで歩く。

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。