つなぐ(10/10)

文・藤 紫子  

それから、2週間と2日がたちました。
冷たい雨がつづいたあとの、すっきりと晴れわたった日のことです。
おじいさんちの郵便ポストに、一通の手紙が届けられました。
電話や電気、水道の料金の支払いあんないくらいしか入らないポストに、鉄道会社の封筒が入っていたのです。
なかには、淡いうぐいす色に、あざやかな緑色の四葉のクローバーが全体に散った封筒と、鉄道会社からの手紙が入っていました。

「お世話になっております。その後、お変わりはございませんか。さて、本日、あのお二人から、お客様あてにお手紙をお預かりいたしました。つきましては、お客様へ転送いたします。どうぞ、おたしかめください。 時音駅長」

おじいさんのむねは飛びださんばかりです。
「落ち着け。落ち着け」
おじいさんはいったん、四つ葉のクローバーの手紙を机におきました。
一杯のお茶を飲んで、心を落ち着けてから開けることにしたのです。

熱々のお茶を入れました。それをすすりながら、少しずつ飲んでいきました。
あえてゆっくり、時間をかけて飲みます。
体がぽかぽかしてきました。

藤 紫子 について

(ふじのゆかりこ) 札幌市生まれ。札幌市在住。季節風会員。小樽絵本・児童文学研究センター正会員。12年ほど町の図書館員をしていました。子ども向けのお話と好き勝手な詩(https://ameblo.jp/savetheearthgardian/entry-12601778794.html)を書いています。自然・ドライブ・博物館・棟方志功氏の作品・源氏物語・本(本なら問題集でも!)が好き。