ふしぎなぴりーこぱん(5/7)

文と絵・エンプティ・オーブン

ぴりーこぱんは、また自分のみつあみを二つとると、あんこちゃんの頭にくっつけた。
くっついたみつあみは、生きもののようにひとりでにクルクルと回った。
そのとたん、あんこちゃんは、自分の体がかるくなったかんじがした。
じっさいに体がフワッとうきあがり、足がじめんからはなれていた。

「これでよし! あんこちゃん、いっしょにいこう」
ぴりーこぱんが手をつないでとんでくれた。こわいけど、これなら少しあんしんできる。

「やっぱり、ぴりーこぱんってすごいね!」
「そうでしょ、エッヘン!」
空中でそりかえるものだから、ぴりーこぱんはクルリといっかいてん。
手をつないでいたあんこちゃんも、ぴりーこぱんにつられて、空でクルリといっかいてん。
ひえ~っ、おっこちそう!
「ぴりーこぱん、こわいってば!」
「あっ、ごめんね!」
ぴりーこぱんは頭をかいた。

はじめてやって来た、空の上。
足がふんばるばしょがなくって、ちょっとおちつかない。
ゆだんするとクルリとかいてんして、どっちが上だかわからなくなりそう。
あんこちゃんがこまっていると、ハートちゃんが気づいてくれた。

「あんこちゃんはとぶのはじめてだから、みんな、手をつないであげて」
さすがはハートちゃん、あんこちゃんのことをよくわかってくれている。
「ありがと、ハートちゃん!」

エンプティ・オーブン について

1985年埼玉県生まれ。子供のころから本が好きで、自分でも絵本を作ったり、マンガを描いていました。二児の母になってからは、わが子に読み聞かせるための絵本を作ってきました。小学校の読み聞かせボランティアにも参加しています。娘がが小学生になるのを機に、童話を書き始めました。たくさんの人に楽しんでもらえるお話を書きたいです。