ぼくたちは夏の道で(11/12)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

しばらくすると、裏庭に、きれいなおねえさんが現れた。
白いシャツに、スリムなジーンズ。
長い髪は、後ろでぎゅっと結ばれている。
そして、腕の中にはパピが、すとんと落ち着いている。

おねえさんは、ゆっくりこちらにやってきて、猿神さんに向き合った。
パチパチとまばたきを繰り返す猿神さんのみぞおちに、
「グッジョブ!」
バスッとこぶしを入れる。

「ありがとう!」
チャッピーには、キスを。
「ありがとう!」
ぼくには、パピ付きのハグを!
「ありがとう!」
ほほを染め、もじもじしている黒岩さんには、頭をさげた。

おねえさんは、みんなにお礼を言ってくれた。
けれど、一番の功労者はパピだろう。
ほら、おねえさんの鼻の頭、小さな歯型がくっきりとついている。
たぶん、パピにかぷっとやられ、痛くて飛び起きたんだ。
だよね、パピ?

パピはその後、
12年間元気で暮らし、
30歳まで生きることになる。
でも、この時のぼくたちは、まだ知らない。

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。