ぼくたち エージェント!③~サンタクロースはいないのか?(2/6)

文・ひなたのんき  

エージェント3②すきやき「お! いい肉だな~」
パパがうれしそうに、すきやきのお肉をおはしでとった。
いつもは、ママがごはんを作ってくれるけど、すきやきの時は、パパがつくってくれる。おなべに、たれをちゃぷちゃぷいれて、お肉をおよがせる。
「みろ、たかし、つよし。お肉のプールだぞ」
ぼくも、つよしも、お肉が大すきだ。
だけど今日は、ぼくは、むねがドキドキして、あんまり、お肉によろこべなかった。
パパに、テツヤが言っていたことを、きいてみようと思っていたからだ。

「ねぇ、パパ」
「うん?」
パパが、ニコニコしながら、こっちを見る。
「サンタさんって、ほんとは、いないの?」
「えっ・・・」
パパのかおが、しゃしんをとる時みたいに、かたまった。

「テツヤが言ったんだ。サンタさんって、ほんとは、いないって。プレゼントは、パパとか、ママが、おいてるんだって」
「え、え~と、それは・・・」
パパが、あわてて、ママの方を見る。
ママも、お茶をいれようとしたポーズのまま、カチカチのねんどみたいに、かたまっていた。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。