ぼくたち エージェント!2~チョコレートをダッカイせよ(1/4)

広場につくと、事件が起きていた。
「あれ?  つよし。どうしてないてるんだ?」
先に来ていたつよしが、広場のまん中で泣いていた。つよしのまわりには、よくいっしょにあそぶ子たちが集まって、かなしそうな顔をしている。

「うえぇ、ヒョ、ヒョコレート、とられひゃった・・・」
なみだとはな水を流しながらつよしが指さした方を見ると、マンションに住んでる小学3年生、らんぼうのテツヤが笑いながら、にげていくところだった。
右手にチョコレートを持って、ぶんぶんふり回している。
エージェント2 1-2いじめっ子

「へっへっへ~!よわむし けむし、なきむし つよし!」
「なんだとぉ!」
自分より小さい子にいじわるをしてとくいになるなんて、何てヒキョウなやつなんだ。
あんなやつは、せいぎのエージェントが、ぜったいにゆるさない!

「エージェントつよし。あのチョコレート、とりかえすぞ!」
ぼくは、小学1年生から一気にエージェントたかしになった。
取り返すことを、エージェントのことばで、なんていうんだっけ・・・?たしか、ダ、ダ・・・
「ダッカイだ。ダッカイをするんだ!」
ぼくは、ギュッと手をにぎりしめた。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。