ぼくたち エージェント!2~チョコレートをダッカイせよ(3/4)

文・ひなたのんき  

「わ、にいちゃん、だいじょうぶ・・・?」
足をひきずりながらうらの空地にもどると、つよしがチョコレートを持ってまっていた。

そう、ぼくたちの作戦は、ぼくがテツヤをおびき寄せて、その間に、つよしがチョコレートをダッカイするという作戦だったのだ。
つよしは、自転車のかげにかくれていて、テツヤがかくしたチョコレートをダッカイしたのだ。

「だいじょうぶだ。エージェントは、ケガするものなんだ」
エージェントは、泣いたりしないんだ。
それにぼくは、つよしの兄ちゃんだから、弟の前では、強くないといけない。
いたくていたくて、ほんとに泣きそうだったけど、絶対に泣かないように、体中に力を入れた。

エージェント2 3-2「チョコレート、食べるか」
ぼくがいうと、つよしがうれしそうに笑ってうなずいた。
つよしが包みをやぶいて(ぼくは手をケガしてるから、やぶけなかったのだ)、ぼくたちはダッカイしたチョコレートを半分こした。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。