アイスクリーム・ゴリラ!(2/5)

文・ひなたのんき  

「あ、まってよ。パパ!」
あわてて、けむくじゃらのせなかを、おいかけましたが、ゴリラパパの、はやいこと。
レナは、あっというまに、おいてけぼりです。

「どうしよう。ええと、おとぎ話だと、こういう時は、わるいまじょがいて、まじょをやっつけると、もとのすがたに、もどるのよね」
でも、レナは、わるいまじょが、どこにいるか、しりません。
そもそも、わるいまじょなんて、ほんとうにいるのでしょうか。

「だれかにきいてみようかしら・・・あら?」
キョロキョロまわりを見て、きがつきました。人がいません。
アイスクリームをうる人も、オリにあたまをくっつけてゴリラを見ていた人たちも、みんな、いなくなっています。
どうしましょう。
まじょのことがわからないと、パパをもとにもどせません。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。