ゴホンゾンサマ(3/3)

文と絵・中西恵子

じろうは、じんじゃのおさいせん箱に五円玉を入れると、パンパンと手をたたいておじぎをしました。
「ゴホンゾンサマ、トムのおねがいをきいてくれてありがとうございました」
もう1枚、五円玉を入れて手をたたいて、おじぎをしました。

「ゴホンゾンサマ、どうかこんどのたんじょうびにじてんしゃをかってくれるように、おとうさんにいってください。青色でかっこいいのをおねがいします。それから、ヘルメットもおねがいします。じてんしゃとおそろいの青色で、ほそながいメロンみたいな形で、ながぼそいあながいっぱいあいてるやつにしてください。どうかよろしくおねがいします」

五円じゃたりないかなと思って、もう五円入れるとおじぎをしました。
じいちゃんが、はらをかかえてわらっています。

中西恵子 について

愛知県新城市生まれ。 武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。 第6回小学館童画新人大賞入賞。 絵本に『かえる』『ヘキサ、もりへいく』『トチノキのひっこし』『じろう、ひとりででんしゃにのる』など(以上福音館書店月間絵本「こどものとも」シリーズ、現在品切れ)、 さし絵に『たからものくらべ』(杉山亮作、福音館書店)、『点字の世界へようこそ』(黒崎惠津子文、汐文社)がある。 「らしさ」を追いかけて、七転八倒中。