サワガニの理容室(1/6)

文・ねこはるさめ  

〈そうだ。花びんと花はどちらが目立っても美しくならない。どちらもおたがいを引き立たせるかんけいだ。ということは・・・〉
ステキな思いつきをしたサワガニは、テキパキと両手のハサミをうごかしました。
カガミを見ていたウサギのひとみは、みるみるうちにかがやき出します。
そして、ヘアスタイルが仕上がると、うれしさのあまりイスからとび上がり、くるっとちゅうがえりをしました。

「まぁ、なんてカワイイの!」
ウサギの耳と耳の間の頭には、小さな花のような形をしたまき毛がたくさんありました。
それは頭の上だけでなく、耳やおでこやほっぺたにもつづいています。

サワガニはにこやかに言いました。
「これでしたら、はじめに耳に目が行ったとしても、そのまま花をたどって、おきゃくさま自身も見ていただけることでしょう」
ウサギはとてもまんぞくして、「ありがとう!」と、サワガニに小さなキスをすると、真っ赤にゆであがったサワガニに見送られて帰っていきました。

ねこはるさめ について

和歌山県出身。ボランティアでオリジナル童話の読み聞かせ活動をしています。それ以外にも、少し大人びた児童文学テイストな作品を創作。人がいだき育む幻想を紡いだ短編を好んで書きます。 ホームページ:滑空舎 http://kakkusha.sakura.ne.jp/media/