チャン! チャン! チャン! チャン! チャン小熊ねずみー!(2/7)

文と絵・くまもり こぐま

「いいえ、おばあちゃんのお見まいに行くのです」
「ふむ、おばあさんのお見まいに行くのか。それは感心だが」
そう言うと、ヤマネのおじさんはおやゆびを立てました。
「ひとーつ。そのボールつきをバスにのっている間だけ休けいすることにして、すきな席にすわる」
イノシシのうんてんしゅさんが、うんてん席から身をのり出して、ヤマネのおじさんを見つめて首をたてにふりました。
「ふたーつ」
ヤマネのおじさんは、人さしゆびを立てて言いました。
「そのままボールをつきながら、すぐにバスからおりる。君は今すぐ、どちらかをえらばなければならなーい」

イノシシのうんてんしゅさんが何どもうなずきながら言いました。
「つまりお客さんがお見まいに行きたければ、今すぐボールつきをやめなければいけないってことですよ」
これはこまりました。
ボールつきをやめないとびょういんに行けません。おばあちゃんに会えません。
(でも、こんなに不安なのですもの)
ボールつきをやめたら、大きくなった不安で心がばくはつしちゃうかもしれません。(つづく)

くまもり こぐま について

東京生まれ。旅行誌のライターを経てシナリオを書き、その後子供の頃からの夢であった児童文学作家を志しました。童話コンクールで賞をいただいたことをきっかけに、子供だけでなく、大人の心にも寄り添うような作品を書けるようになれたらと思っています。ほのぼのとしたかわいい作品だけでなく、心に迫るような現実を取り扱う作品も書いてます。どうぞよろしくお願いします。