ドイツに見る名作の伝承

学生による、ミヒャエル・エンデの『モモ』の舞台を最近見てきました。名作がどのように伝承されるか、という一面を見た気分です。

◆ドイツの学校では
私はドイツのエアランゲン市という町に家族と住んでいます。つい先日、私の子どもが通う学校で「モモ」が上演されました。この学校は「ギムナジウム」と呼ばれる学校で11~18歳までの生徒がいます。選択性の授業にサーカスや演劇があるのですが、両者が一緒になって体育館で上演したのが「モモ」でした。

ちなみに私の印象でいえば、2000年ごろからドイツの幼稚園や学校でサーカスを導入するところが増えているように思います。動物を使った曲芸よりも、より芸術性を高めたエンターテインメントサーカス、「シルク・ド・ソレイユ」などの影響もあったのでしょう。教育の観点からいえば、アクロバット、舞台演技、チームづくり、プロデュースなど「総合的」な学習機会があるのが魅力なのかもしれません。

高松平藏 について

(たかまつ へいぞう) ドイツ在住ジャーナリスト。取材分野は文化・芸術、経済、スポーツ、環境問題など多岐にわたるが、いずれも住まいしているエアランゲン市および周辺地域で取材。日独の生活習慣や社会システムの比較をベースに地域社会のビジョンをさぐるような視点で執筆している。一時帰国の際には大学、自治体などを対象に講演活動を行っている。 著書に『エコライフ ドイツと日本どう違う』(化学同人/妻・アンドレアとの共著 2003年)、『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』(学芸出版 2008年)のほかに、市内幼稚園のダンスプロジェクトを1年にわたり撮影した写真集「AUF-TAKT IM TAKT KON-TAKT」(2010年)がある。1969年、奈良県生まれ。 HP;インターローカルジャーナル