ドイツに見る名作の伝承

◆15歳以下は知らない?!
話をもどしましょう。「モモ」は不思議な力を持った少女・モモが主人公のお話です。「時間貯蓄銀行」と称する灰色の男たちが、人々から時間をとってしまい、心からゆとりが消えてしまいます。紆余曲折をへてモモは時間泥棒と戦い、盗まれた時間を取り戻すというストーリーです。

左から『モモ』の書籍、アニメ・実写映画DVD

左から『モモ』の書籍、アニメ・実写映画DVD

実はこの作品をとりあげようというアイデアを出したのは、私の長女とその友だちでした。言わずもがな、この作品は名作で、子どもたちが小さなころ、ドイツのテレビでもアニメ作品が放送されていました。しかし、2、3年ちがうと共通体験が違っているのも子どもたちの世界です。娘によると15歳以下になると知っている生徒がぐっと減るらしい。なるほど、このあたりの世代で「モモ」が放送されなくなったのかもしれません。

高松平藏 について

(たかまつ へいぞう) ドイツ在住ジャーナリスト。取材分野は文化・芸術、経済、スポーツ、環境問題など多岐にわたるが、いずれも住まいしているエアランゲン市および周辺地域で取材。日独の生活習慣や社会システムの比較をベースに地域社会のビジョンをさぐるような視点で執筆している。一時帰国の際には大学、自治体などを対象に講演活動を行っている。 著書に『エコライフ ドイツと日本どう違う』(化学同人/妻・アンドレアとの共著 2003年)、『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』(学芸出版 2008年)のほかに、市内幼稚園のダンスプロジェクトを1年にわたり撮影した写真集「AUF-TAKT IM TAKT KON-TAKT」(2010年)がある。1969年、奈良県生まれ。 HP;インターローカルジャーナル