ドールハウスが教えてくれた大切なこと

金のおさら書影金のおさら
バーナデット・ワッツ 作・絵
福本友美子 訳
BL出版

私は学生の頃から、ヨーロッパの小さな女の子たちが持っているドールハウスにあこがれがあり、いつか持ちたいな、と思っていますが、なかなか実現はしていません。
精巧にできたミニチュア家具やドールハウスを見ると、小さく変身できたら、その世界に入りたい! という衝動にかられます。その思いは、大人になった今でも変わりません。

ドールハウスにはそんな魅惑が潜んでいますが、この絵本の主人公のイザベルは、お友だちのエリーの美しく立派なドールハウスを、ずっと羨ましく思っていたところから始まります。イザベルは自分のドールハウスは、お父さんが本棚を解体して作ってくれたものだったので、見劣りがして恥ずかしく思っていたのです。

そんな中でイザベルはエリーのドールハウスの素晴らしいキッチンに並ぶ、見事な金食器に魅了されていました。欲しくて、欲しくてたまらなくなり・・・。
でもイザベルは、エリーが立派なドールハウスを持っているから意地悪をしようとしたわけではありません。自分の「羨ましい」という気持ちに勝てなかったのです。

その後は、欲しいものを、間違った方法で手に入れても、ちっとも嬉しくなく、自分のドールハウスに置いても似合ってないことも理解できました。食欲もなくなって、誰にも気づかれていないのに、太陽も、ヒマワリも、お母さんが焼いてくれた丸いスポンジケーキも、すべてが金色のおさらに見えてしまい、生まれて初めて「苦しい」という思いも知ることができました。
勇気を出して、お母さんに本当のことを伝えたイザベルには、何が待っていたのでしょうか? エリーとその家族の反応は?

ドールハウス好きが生じたのでしようか、私が美しくも可愛いこの絵本と出会ったのは、ある小さなドールハウスの店内でした。
日本では昨年(2015年)出版されたばかりで、スイスでも2014年と最近の絵本です。絵本そのものがドールハウスの世界に忍び込めたような美しい色彩ですが、ストーリーには、小さな女の子がまだ知らなかった罪の意識をはじめて理解し、乗り越える、という教訓も秘められています。

自分が罪の意識をはじめて実感したのは、いくつの時だっただろう? 大人になっても人を羨ましがって、自分で自分を苦しめていないだろうか? など、自分を見つめなおす一冊となりました。

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三輪桃加 について

兵庫県出身、東京都在住。お料理と絵本、明治~昭和初期のレトロな文化をこよなく愛す。自身の体調不良から毎日食べることの大切さを痛感し、大学で食物学(栄養学)を学び、シニア野菜ソムリエ(野菜ソムリエの最高峰)の資格を取得。 「真の"美"体質」をモットーにダイエットや食を通した健康・美容関連記事、食育絵本などを手掛けている。 ブログ:野菜&果物の美養栄養学