バイバイパンダパン(4/4)

文と絵・満月詩子

「結那、これからお母さんと二人だけで、新しいお家でくらすことになってもいい?」
「お父さんは?」
「・・・しばらく会えなくなる、かな」
しばらくって、どのくらい? 結那がいい子でいたらいいのかな。
そしたらお父さん、お母さんにこわいことしなくなる?

結那は、パンダパンをじっと見つめます。
悪パンダになったお父さんは、こわいな。
「遠いところに行くから、アンジさんともさよならしないといけなくなるけど・・・」
結那が顔を上げると、アンジさんはさみしそうにほほ笑みました。
転校しちゃうことになるのかな。知らない子ばかりのところに行くの、こわい・・・。
でも・・・。

「ごめんね。でも、お母さん、結那とはなれたくない。だから、いっしょに来て!」
緊張したお母さんの声に、結那は、お母さんの強い思いを感じました。
結那の目に涙がにじみます。

でも、お母さんといっしょだったら、がんばれる。お母さんがこわい思いしないなら、お母さんがいつも笑っててくれるなら・・・。
結那は、お母さんをぎゅっと抱きしめると、何度も、何度もうなずきました。

おわり

満月 詩子 について

(みつき うたこ) 佐賀県生まれ、在住。学校図書館勤務を経て、福祉関係の仕事に就く。現在は、仕事以外に、ボランティア活動なども行いながら、絵本や児童書の創作を続けている。日本児童ペンクラブ、日本児童文芸家協会会員。 2012年、『その先の青空』で、第15回つばさ賞、佳作に入選 おもな著作に、『さよなら、ぼくのひみつ』【『さよなら、ぼくのひみつ』(国土社)に収録】。『たまごになっちゃった?!』【佐賀県DV総合対策センター発行】、『あかいはな」』【『虹の糸でんわ』(銀の鈴社)に収録】などがある。