ビバ・ネバル!(6/6)

文と絵・高橋貴子

そこへアリがやってきて、
「アリが10! ビバ・ネバルくん、よかったら友だちになってほしいんだけど、それってあり?」
とぴょこんと頭をさげたので、ぼくはおかしくてしかたがなかった。

「もちろんさ。友だちになるにはまず、きみたちの名まえを聞かなくっちゃ」
みんなの名まえを教えてもらった後、ぼくは「そういえば」ときりだした。
「なぜきみたちはぼくの名まえを知っているの?」
イモムシのイムくんがにこにこしていった。
「チヨちゃんをひきあげた後、モックがね『すごいぞ、ビバ・ネバル』ってつぶやいたんだ。ぼくたちもあんまりうれしかったもんだから、後につづいてさけんだのさ。とうの本人はバツがわるそうに、そそくさといなくなっちゃったけどね」

「モックが・・・」
ぼくが考えこんでいると、森の中にさあっと光がさしこんだ。
「長い夜がおわったのよ。見て!」
ミノムシのミイノの言葉に、みんながふりかえった。
木の間にいくつもかかる細く長いぼくの糸が、朝日をあびてにじ色にかがやいていた。
ぼくのからだに糸はもうなかった。
だけど、たくさんの糸にくるまれているようなあったかい気もちだった。

高橋貴子 について

(たかはし たかこ)米国・オレゴン大学国際関係学部卒業。外資系企業に勤めながら、子どもの本について考えています。子どもが作りたての小説を真剣な目で読んでいたのが最近の一番嬉しい出来事です。第3回講談社フェーマススクールズ絵本コンテスト講談社児童局賞受賞。