ラムネスイッチ(3/5)

文・円山なのめ  

「よし、次はシーソー。そっちに乗ってね」
「シィ・ソゥ。オーケェイ」
「へえ。シーソーは、英語でもシーソーなんだ」
ぼく、今、まさに、生きた英語、ってやつといっしょにいるんじゃないか。
ちょっと得意になりながら、そいつと競争で、ジャングルジムのてっぺんにのぼった。
「ラウンド アンド ラウンド!」
Iでできた指を回して、そいつが言った。
「ラウンド アンド ラウンド!!」
まねをしてさけび、ふと、下を見た。

円山 なのめ について

東京都出身。早稲田大学教育学部卒。一児の母。子育てしながら文筆活動、里山保全活動をしています。 旧姓:西沢での著書に『イボ記』(小学館)。表題作は女子大生の足指のイボをめぐる異色青春小説。併録の『おしえない』は黄面と呼ばれる異形たちの国に迷い込んだ人間が出会う不条理奇譚。現在は電子書籍ストアにて発売中(イボ記』)。 HP:なのめのめ