宇宙視点で人間と孤独の関係を想像する楽しさ

さらに地球と対比するような形で出てくる火星。地球人は火星に仲間を求め、また火星人も地球に仲間を求めている。お互いに引き寄せ合う異質なもの同士。そんな火星人をよく見てみるとなんと「なると」の宇宙船に乗っているのです。主人公の僕はラーメンの海苔の上に仰向けになり、物思いにふけっています。その時、主人公のへその緒が何かと繋がっていて、深い意味を帯びているように読者に訴えかけてきます。

この詩にあるのは「孤独」という深淵なテーマです。人間が潜在的に抱える孤独から生まれる様々な苦しみや悩み、不安を伝えているように思えるのですが、ただ単にそれだけで終わらせない、それを深刻にとらえさせ過ぎない、どこか楽観的な視点も含まれているように受け取れました。これは谷川さんの持つの優しさなのでしょうか。(次ページに続く)

えもり なな について

江森 奈々(えもり なな)1985年神奈川県生まれ。千葉県在住。幼少期より母から良質な絵本を与えられて育つ。幼い頃から絵を描くことが得意で、小学生の頃は漫画を描く。中学生になると美術部に所属し油絵を始める。灰谷健次郎の「兎の目」に感銘を受け、10代は日本や世界の児童文学を読みふける。現在、保育士をしながら絵本や童話、紙芝居の創作、読み聞かせを行っている。画家・イラストレーター、モデルとしても活躍中。絵本は1500冊以上読破。2023年be京都にて初のプチ個展を開催。パレットクラブスクール19期絵本コース卒業。トムズボックス2019冬季ワークショップ修了。 『絵本作家になるには、絵が描けないと無理ですか』(CATパブリッシング)の挿絵を一部担当。 ●YouTube:【なないろ本屋/7's BOOKSHELF】 ●Instagram:【nana_museum】