怒りを煮詰めてジャムに? 怒りが昇華される過程を楽しく描いた物語

プンスカジャム

くどうれいん・作 くりはらたかし・絵
福音館書店 2021年9月3日刊

◆大きくてまるい形をした赤い車

「もうしらないぞ。もう、もうもう、もうもうもう、ぼくはおこった! 」
主人公の小学2年生のハルが、公園から怒って出てくるシーンからこの物語は始まります。
公園で遊ぶ約束していた友達のタニくんが待ち合わせ場所に姿を見せなかったのです。
ハルはそのまま家に帰りたくないと、怒りに任せていつもとは違う方へ歩いていくと、大きくてまるい形をした赤い車を見つけます。
そこには「ベーカリーあんぐり」「あなたのプンスカ、ジャムにします」と不思議な言葉が書いてありました。

すると、車の中から「あぐりさん」と名乗るおばあさんが現れます。
ハルが中をのぞくと、そこはいろんなパンが並べられたパン屋さんでした。
あぐりさんはハルの怒った顔を見て、車の中に招き入れるとメロンパンとお茶をごちそうしてくれます。
でも、ハルはあぐりさんとお話しているうちにまた怒りがぶり返してきてしまいます。

そこであぐりさんは魔法を唱え、 ハルのおへそから出てくる煙、「プンスカ」をお鍋に入れてハルに木べらでかき混ぜるように言います。
ハルは自分の中から出てきた「プンスカ」をかき混ぜながら、
自分の怒りの感情ともう一度真正面から向き合います。

えもり なな について

江森 奈々(えもり なな)1985年神奈川県生まれ。千葉県在住。幼少期より母から良質な絵本を与えられて育つ。幼い頃から絵を描くことが得意で、小学生の頃は漫画を描く。中学生になると美術部に所属し油絵を始める。灰谷健次郎の「兎の目」に感銘を受け、10代は日本や世界の児童文学を読みふける。現在、保育士をしながら絵本や童話、紙芝居の創作、読み聞かせを行っている。画家・イラストレーター、モデルとしても活躍中。絵本は1500冊以上読破。2023年be京都にて初のプチ個展を開催。パレットクラブスクール19期絵本コース卒業。トムズボックス2019冬季ワークショップ修了。 『絵本作家になるには、絵が描けないと無理ですか』(CATパブリッシング)の挿絵を一部担当。 ●YouTube:【なないろ本屋/7's BOOKSHELF】 ●Instagram:【nana_museum】