春を泳ぐヒカリたち(11/11)

文・高橋友明  

この日の学校からの帰り道、ぼくは、べにちゃんにネクタイとの取っ組み合いのいきさつを話した。また、今までの嘘をすべて話した。
本当は今日までは、ネクタイを、いやなやつだと思っていたこと、手紙を渡すのが怖く、気持ちがたかぶって取っ組み合いになってしまったこと。

そして、べにちゃんが大好きだということを。
べにちゃんは話せば話ほど、目をまん丸にして驚いていた。
べにちゃんにずっと嘘をつきつづけるなんて、できやしない。そんなのは、ぼくとべにちゃんなんかじゃない!

今のぼくの気持ちのなんと澄んだことか!  ぼくに嘘はない、これだけでぼくの気持ちのなんと誇らしいことか!
その夜、ほくは群青色の窓を開けて眠った。
すっきりとした、春の夜気を感じたかった。
部屋を春でいっぱいにしたかった。

澄みわたる青空のもと一帯に群衆を集め、ぼくは目の前に並んでいる、お釈迦さまとイエスキリストさまと閻魔さまに、べにちゃんがいかにステキか、ネクタイのやつが鼻につくところもあるけれど、どんなにいいやつかということを、得意げに説教している光景だった。

高橋友明 について

千葉県柏市在中。日本児童教育専門学校卒業。 朝昼晩に隠れているその時間ならではの雰囲気が好きです。やさしかったりたおやかであったり、ピリッとしていたりする。 同様に春夏秋冬や天気や空模様も好きです。 そうしたものを自分の作品を通して共感してもらえたら幸いです。