春を泳ぐヒカリたち(11/11)

文・高橋友明  

目覚めてそれが夢だとわかると、ぼくは自分の横柄(おうへい)な態度に、笑ってしまった。
窓を開けて外を眺めると、春がいよいよ本格的に居座っていた。
やさしいヒカリが、なにもかもをいっぱいに包みこんでいた。あの電柱も、さえずる小鳥たちも、あの家も、あの空も、そしてぼくのことも。

いつかいったべにちゃんの言葉がきこえる。
――世界ってすてきね。わたし達この世界をあますことなく、生きていけるんだね。
(おわり)

高橋友明 について

千葉県柏市在中。日本児童教育専門学校卒業。 朝昼晩に隠れているその時間ならではの雰囲気が好きです。やさしかったりたおやかであったり、ピリッとしていたりする。 同様に春夏秋冬や天気や空模様も好きです。 そうしたものを自分の作品を通して共感してもらえたら幸いです。