沖縄戦の惨劇を伝える

なきむし せいとく

たじまゆきひこ 作・絵
童心社
2022年4月30日刊

絵本『なきむしせいとく』の表紙画像

◆未解決の問題を抱えている沖縄

戦争の悲劇の中で原爆と同様に忘れてはならない出来事の一つとして沖縄戦があげられます。
今回ご紹介するのはその沖縄戦を舞台にした絵本です。

今、沖縄といえば豊かな自然や風土に根差した独特の文化・歴史遺産を残す土地として多くの人に愛される人気の観光名所です。
ですが、その背景には「沖縄戦」という惨劇の爪痕が残っています。
沖縄は国土の面積0.6%でありながら、米軍専用施設の約70%が集中し、今も米兵による事件や米軍機事故が絶えません。

沖縄に住む住民たちは沖縄戦での苦しみを経た今もなお、その戦争による影響を受け続けており、私たちが考えなくてはならない未解決の問題を抱えています。
そういった沖縄の光と影における影の部分を直視するのに、この絵本は私たちに大切なことを教えてくれているように思います。(次ページに続く)

えもり なな について

江森 奈々(えもり なな)1985年神奈川県生まれ。千葉県在住。幼少期より母から良質な絵本を与えられて育つ。幼い頃から絵を描くことが得意で、小学生の頃は漫画を描く。中学生になると美術部に所属し油絵を始める。灰谷健次郎の「兎の目」に感銘を受け、10代は日本や世界の児童文学を読みふける。現在、保育士をしながら絵本や童話、紙芝居の創作、読み聞かせを行っている。画家・イラストレーター、モデルとしても活躍中。絵本は1500冊以上読破。2023年be京都にて初のプチ個展を開催。パレットクラブスクール19期絵本コース卒業。トムズボックス2019冬季ワークショップ修了。 『絵本作家になるには、絵が描けないと無理ですか』(CATパブリッシング)の挿絵を一部担当。 ●YouTube:【なないろ本屋/7's BOOKSHELF】 ●Instagram:【nana_museum】