猫アンテナ狂想曲(2/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

「お電話変わりました。はい、オレ、いえ、ワタシは助手の朝日輝です」
「へー、ワシって助手いたのかー」
ぜんざいを食べながら、にやりと笑う猿神さんを、静かにと目で制し、メモを取る。
「はい、ああ、料金は、結構です」
オレが置きかけた受話器に、
「じゃ、ないだろ!」
猿神さんが、手を伸ばす。

「はい、お電話変わりました。再び、所長の猿神寅卯です。ええ、バカな、いや、慣れない助手なもので失礼しましたが、料金はきっちり頂戴します。時給・・・、猫捜しの時給は2千円くらいです。あとは、そうですね、交通費等の実費をいただきます。では、のちほど」
受話器を置いて、一気にぜんざいをかきこむと、猿神さんは、
「助手1号、出動だ!」
鼻息荒く指令を飛ばした。
「オレが1号ってことは、他には助手はいないんですね?」
「当たり前だ。今まで、猫捜しなんて依頼はなかったからな。もちろん、あっても断るが。さあ、とっとと出動だ!」

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。